TAOってどんなことしているの?TAOのとある1日を御紹介しましょう。
| 小国遊民の詩と冒険 |
波多野 毅(TAO代表)
左に九重連峰、右に阿蘇の五岳、その間からオレンジ色に光る朝日が昇る。ここは、阿蘇外輪山の一角、ペトログラフ巨石のある押戸石山だ。先週からステイしている東京の友人としばし日想観。さわやかな風、緑の匂い、なんともいい朝だ。梅醤番茶を飲んで「さぁ、今日も一日大いに遊ぼう」。
今朝は、古代米や雑穀を作っている友人のところへ援農。昼ごはんは彼の作った蕎麦を「挽きたて、打ちたて、湯がきたて」で頂く。「うまかぁ〜ねぇ!」
お昼過ぎ、コミュニティFMラジオ局へ。私の妻の作曲したオルゴール音楽をバックに朗読する「癒しの泉」という番組の収録だ。今回は、正食の桜沢如一氏の「永遠の少年」と童話作家のミヒャエル・エンデの「モモ」も一節を読もう。
「ツーリズム」を町づくりのコンセプトにしている我が小国町へ視察に訪れる人達は多い。午後は、彼らを坂本善三美術館に案内した。抽象画の坂本善三画伯は、あの北里柴三郎医博と同じく、郷土が生んだ偉人である。私は、地元産の杉を活用した町の案内をするだけでなく、地域でユニークな活動をしているオモロイ人を紹介するのも好きだ。
今日は、同じ「小国環境の会」のメンバーで「葛籠(つづら)づくり」をしている女性のところへ案内した。環境の会では、これまでネットワーク地球村の高木善之氏、九州東海大学農学部教授の片野学氏にそれぞれ環境、食、農・健康をテーマに講演をしてもらった。彼らの思想と実践が地下水のごとく町の土壌に深く浸透していくことを願っている。
さてさて、もう夕方。これから寺小屋TAO塾の仕事。妻が、有機農業をしている友人の娘さんにピアノとエレクトーンを教える。無農薬のパセリと音楽レッスンの地域通貨の交換だ。スタッフの北里洋子さんは書道教室。
TAO塾には、様々な世界地図が貼られている。日本が中心の世界地図しか知らない子供たちはこれらの地図を見て不思議に思い、あれこれ質問してくる。そんなとき私はこう言う。「皆、自分の住む国を中心に世界を見ているんだね。日本は日本中心に、アメリカはアメリカ中心に、西洋の人が日本のことをFar East(極東)とか言うけれど、これはヨーロッパを中心に見るからだね」と。
子供たちの中で一番人気の地図はUpside Down World Map(さかさまの世界地図)。つまり通常の地図を上下逆転させた、南半球が上で北半球が下の世界地図。
「産業革命がヨーロッパで起こり、西欧の国々がこの物質文明をリードした。だからヨーロッパを中心にした世界地図がこんなに流布したんだね。でも考えてみれば南半球が上にあってもいいんだよね。だって地球を宇宙的に見れば上も下も右も左もないんだよ」と私が言うと、生徒の一人が逆立ちしたのには、皆大爆笑!今日は、通常の学習の他に特別講座のある日だ。イタリアで自然農園レストランをしている友人をゲストに招き,TAO世界人講座をしてもらった。日本の伝統食の英知の素晴らしさを西欧の青い目をした外国人から聞く生徒たちは、不思議そうに、でも興味深く聞き入っていた。農の営みの中に生活する阿蘇の子供らも、その尊さを知る機会は少ない。澄んだ目をした彼の「自然と共生する農業をすることを最高の誇りに思っている」と言う言葉は、大きなインパクトを与えたようだ。講座後、露天風呂温泉につかりながらイタリアとの交換留学プロジェクトの話に花が咲き、星降る夜はしだいにふけていった―。以上,TAOのとある一日でした。
「TAO」って何かの略ですか、とよく聞かれます。「道」の「TAO」だけれど、ある卒業生が言った、「T楽しく、A明るく、O面白く」が気に入っています。そして、最近、その表裏一体に「T足るを知る、A有難う、Oお蔭様」があることに気づきました。まさに陰陽なのですね。日本を人体と観れば、阿蘇は足の三里。阿蘇びをせんとや生まれけむ。